気持ちがザワつく夜に私がしている3つのこと

心を落ち着けるセルフケア習慣

―🌙 自分を静かに整えるちょっと変わったセルフケア

ざわざわする夜、わたしだけじゃないと思いたくて

夜になると、急に心がざわざわしてくることってありませんか?

昼間はなんとなくやり過ごせていた気持ちが、布団に入ったとたんに溢れ出す。「なんだか寂しい」「明日がこわい」「このままでいいのかな」——そんな言葉にならない不安や孤独に、胸がつまって眠れなくなる夜。

そんなとき、以前のわたしは、無理やりスマホを見たり、動画を流したりして気を紛らわせていました。でも、それは一時的な逃避でしかなく、朝になっても心のざわめきは残ったまま。むしろ疲れが積もって、翌日がつらくなることもありました。

だから今は、「ざわついた夜こそ、自分をゆっくり整えるチャンス」だと思うようにしています。今回は、わたしが実際にしている、ちょっと変わった3つのセルフケアをご紹介します。海外の考え方や習慣も取り入れて、ほんの少し視点を変えてみる。それだけで、気持ちがすっと軽くなる夜があります。

1. 「眠ろうとしない」と決める(逆説的意図)

眠れないときって、「寝なきゃ」という焦りがいちばんの敵だったりします。

「このままじゃ明日がきつい」

「ちゃんと寝ないと肌にも悪い」

「また、また眠れないのかも…」

そんな風に思いながら布団に入ると、心はどんどん緊張していき、ますます眠れなくなる。これは“逆説的意図”と呼ばれる心理学的なパラドックスで、「眠らなきゃいけない」というプレッシャーが、かえって眠れなくしてしまうのです。

そこでわたしは、眠れない夜にはこう決めるようにしました。

「今日は眠らなくていい」

「布団の中でただ横になっているだけでも、十分休めている」

眠らなきゃいけないという緊張がなくなると、意外にも体の感覚に敏感になり、自然な眠気が戻ってくることもあるんです。

眠れない夜こそ、「起きててもいい」と自分を許してあげる。

それだけで、心がふわっと軽くなる瞬間があります。

ちなみに、「布団の中でただ横になっているだけでも、十分休めている」というのは、気休めではありません。実はこの感覚には、きちんとした心理学や睡眠研究の裏づけがあります。

心理学には「逆説的意図」という考え方があります。これは、不眠症の治療法としても使われていて、「眠ろうとするほど眠れなくなる」状態を和らげるためのアプローチです。眠らなきゃ、寝なきゃ、と自分を追い詰めるほど、脳や体は緊張し、かえって目が冴えてしまう。だからこそ「眠らなくていい」と開き直ることで、心のプレッシャーがふっと和らぎ、結果的に自然と眠気が訪れることがあります。

さらに、睡眠研究の分野でも「静かな覚醒状態(quiet wakefulness)」は心身の回復に効果があると報告されています。目を閉じて横になるだけでも、副交感神経が働き、心拍数や血圧が下がり、体はリラックスモードに入っていきます。このとき脳もある程度休息しているとされていて、たとえ眠っていなくても、体にはちゃんと休息が届いています。

実際、海外の臨床心理学の研究では、静かに横たわる時間を意識的に取ることが、慢性的な不眠やストレス状態の緩和に役立つという報告もあります。呼吸を整えたり、体の感覚に意識を向けたりすることで、心が少しずつ静まっていく。そんなプロセスそのものが、睡眠以上に意味のあるケアになっています。

だから、眠れない夜には自分にこう言ってあげてください。「起きていても大丈夫。横になっているだけで、ちゃんと休めているよ」って。根拠がある安心感は、心をほっとゆるめてくれる力を持っています。

2. ムーンブリージングで、心を静かにととのえる

これは最近取り入れた、ちょっと不思議で、でも確かに効果を感じられる呼吸法です。

インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」やヨガで実践されている「ムーンブリージング(月の呼吸)」というもの。夜、布団に入っても心がざわざわして落ち着かないときに、私はこの呼吸で静かに自分を整えるようにしています。

やり方はとてもシンプルで、

左の鼻から吸って、右の鼻から吐く

これを3〜5分、ゆっくり繰り返すだけ。

なぜ左の鼻かというと、アーユルヴェーダでは「左側=月のエネルギー=副交感神経を優位にする」と考えられているからです。副交感神経とは、いわゆるリラックスの神経です。心拍数を落ち着けたり、呼吸をゆるやかにしたりして、体を休息モードへと導いてくれるものです。

実際、呼吸法と自律神経の関係については、近年の医学でも注目されています。左右の鼻を使い分ける「片鼻呼吸(ナーディ・ショーダナ)」は、脳の活動バランスを整える効果があるとされ、一部の研究では、左鼻呼吸によって副交感神経活動が高まるという結果も報告されています。これは、ストレスを感じやすい夜の時間帯に、自然な形でリラックス反応を引き出す手助けになると考えられます。

私自身、この呼吸法をベッドに横になったまま試すことが多く、目を閉じて、ただ静かに呼吸に意識を向ける。左の鼻から吸って、右の鼻から吐く。頭の中にあったざわざわが、少しずつ静まっていくのが分かります。体がぽかぽかと温まり、まるで心とからだがゆるやかに調律されていくような感覚。気がつくと、いつの間にか眠りに落ちていることも少なくありません。

「呼吸に意識を向けるだけで、本当にそんな効果があるの?」と思うかもしれません。

でも、だからこそ試してみてほしい。呼吸は、心と体をつなぐ最もシンプルで、最も身近なツールです。コントロールできる数少ない生理的機能のひとつでもあります。

ムーンブリージングは、何かを我慢したり、変えたりしなくてもできるやさしいセルフケア。ざわつく夜に、ただ自分と静かにつながる時間。とても心地よくて、翌朝の目覚めもやわらかになります。

眠れない夜があったら、ぜひ、そっと試してみてくださいね。月の呼吸が、あなたの夜に静かなやすらぎをもたらしてくれるかもしれません。

3. “音”に癒される。ベーコンASMRって知ってる?

少し驚かれるかもしれませんが……わたしは眠れない夜に「音」を聴くことがあります。

それも、ただの音楽ではなく、YouTubeで「ASMR bacon sound」や「fireplace crackling」と検索して、ベーコンが焼ける音や薪がはぜる音を流すんです。ジュワジュワ……パチパチ……という、まるで誰かが朝ごはんを作っているような生活音が、不思議と心を落ち着かせてくれるんですよね。

こういった「耳に心地よい音」によって感じられるリラックス反応は、ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)と呼ばれています。日本語では「自律感覚絶頂反応」と訳され、人によってはゾワッとするような、でも心地よい感覚を頭の中や首筋に感じると言われています。

近年ではその効果が科学的にも注目されていて、2021年の研究では、ASMRを体験した人の心拍数が平均で3拍以上低下し、リラックス状態に入っていることが確認されました。

つまり、眠れない夜にASMR音声を聞くことは、気のせいではなく、実際に身体的なリラックス反応を引き出してくれるということなんです。中でもベーコンの焼ける音は面白くて、「朝」「家庭」「あたたかさ」「満たされる」などのポジティブなイメージを自然と連想させる効果があります。2023年にイギリスで行われた調査では、国民の約3分の1が「ベーコンが焼ける音が、最も満足感を与える食べ物の音」と答えています。

ジュワッという音は、ただ食欲を刺激するだけでなく、人間の深層心理に「安心」や「日常の幸せ」を思い出させてくれるのかもしれません。

もちろん、ASMRが合わないと感じる人もいると思います。そんなときは、声のトーンがやさしく、話のテンポがゆったりしたポッドキャストやオーディオブックを聴くのもおすすめです。

知識や情報を得ることが目的ではなく、声を音として楽しむように耳を傾けると、自然と呼吸が深まり、思考が静まってくるのがわかります。ただし、ニュースや感情を大きく揺さぶるストーリーは逆効果になることもあるので、内容選びは慎重にして下さい。

大切なのは、自分の心が「ほっとする」と感じられる音を選ぶこと。音は、私たちの気持ちに想像以上に大きな影響を与えるものだからこそ、眠れない夜に耳をゆるやかに満たしてくれる音の処方箋を一つ持っておくのは、きっと大きな安心になります。ベーコンの音で眠れるなんて変かもしれません。でも、それで心がゆるんで眠りにつけるのなら、それはもう立派なセルフケア。

ぜひ、あなたも自分だけの“癒しの音”を探してみてくださいね。

眠れない夜こそ、自分を静かに育てる時間に

眠れない夜は、つらいもの。

だけど、そんな夜こそ「本当の自分の声」と出会える時間なのかもしれません。

焦らず、無理せず、自分にやさしく寄り添う。

そのためにわたしがしている3つのこと

1. 「眠らなくていい」と自分に言う(逆説的意図)

2. ムーンブリージングで深い呼吸を取り戻す

3. ASMRの“生活音”に心をゆだねて眠る

どれも特別な道具もいらないし、明日からすぐに試せることばかりです。

どれかひとつでも、あなたの夜が少しやさしくなるきっかけになれたら嬉しいです。

今日のまとめ

• 不安や焦りは「眠ろうとすること」から生まれる

• 心と体に「眠らなくていいよ」と許可を出すだけで、ふっとラクになることも

• 呼吸・音・感覚を使って、やさしく自分を整える夜時間を🫧✨

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