はじめに

新しいことを始めたい。けれど、うまくいかなかったらどうしよう。

そんなふうに不安になったことはありませんか？

繊細な人は、まわりの反応や自分の気持ちに敏感だからこそ、変化や挑戦にとても緊張しやすいのです。でもそれは悪いことではありません。

今日は、「怖い」と感じる気持ちの奥にある、あなたの大切な力と、そこから生まれる成長についてお話しします。

わたしの中にある「怖さ」ってなんだろう？

繊細なわたしたちは、新しいことに対して、他の人よりも慎重です。

失敗したらどうしよう、人に変だと思われたら嫌だ、自分には無理かもしれない――そう思って足がすくんでしまうこともあります。

これは決して気が小さいわけではなく、感じる力があるからこその反応なのです。不安を感じるのは、あなたがまわりをよく見ていて、自分の心の動きにも気づいている証拠です。

挑戦と聞くと、すごくエネルギーがいるように思うかもしれません。でも本当は、「少しやってみる」「ちょっとだけ動いてみる」ことも、立派な挑戦です。

たとえば、新しいことを始める前に、そのことについてメモしてみるだけでも、十分に一歩です。そして、その一歩を踏み出せた自分を、しっかり褒めてあげることが大切です。

繊細なあなたには自分でも気づいていない感受性や集中力があります。だからこそ、その力を少しずつ活かしていけば、自分らしい形でゆっくり進んでいけるのです。

海外の研究では、HSP（Highly Sensitive Person）の人たちが、他人の感情に共感しやすく、まわりの小さな変化に気づく力を持っていることがわかっています。

アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によれば、HSPの脳はふつうの人よりも深く情報を処理していて、それが創造性や直感の高さにつながっているそうです。

また、マイケル・プルース博士の研究では、HSPはサポートのある環境にいると、他の人以上に能力を発揮しやすい「ブースト効果」があることが報告されています。つまり、あなたが安心できる場所で、小さな挑戦を続ければ、想像以上の力を発揮できるということです。

不安や怖さは、あなたが何かを大切に思っている証です。繊細なあなたには、感じる力や気づく力という、素晴らしい能力があります。だからこそ、大きな挑戦でなくてもいい。小さな一歩でも、「やってみよう」と思えたことが、既に素晴らしい成長です。

「今日のわたしは、怖かったけど動いてみた」その気持ちを、どうか大切にしてくださいね。