なんだか理由もなく落ち込む日。言葉にできないモヤモヤが心にたまっている日。そんなとき、そっとノートを開いて、ペンを走らせる――それが、いま静かなブームになっている「ジャーナリング(journaling)」です。
一見ただの日記のようにも思えますが、ジャーナリングの目的は、出来事の記録ではなく「自分の内面と向き合うこと」。書くことで、気持ちが整理され、思考が落ち着き、目の前がクリアになるような感覚が得られるのです。
海外ではメンタルケアの一環として広く親しまれており、ストレス軽減や自己理解、集中力アップなど、科学的にその効果も実証されています。
書くことで得られる、心と暮らしへの6つの効果
モヤモヤが軽くなる
感情を紙に書き出すだけで、頭の中でぐるぐる回っていた不安や怒りが、少しずつ言葉になり、形になっていきます。目に見える形にすることで、感情に振り回されにくくなる感覚があります。
自己理解が深まる
「本当は自分がどう思っていたのか」「なぜイライラしていたのか」に気づけるのも、ジャーナリングの良さ。自分の感情や思考パターンに気づくことで、よりやさしく自分と向き合えるようになります。
睡眠や集中力にもプラス
寝る前にその日の気持ちを書き出すと、頭がスッキリして睡眠の質が上がったり、集中力が高まるという効果も。書く行為が「1日の区切り」になり、脳を休めるスイッチにもなります。
前向きな習慣が育つ
感謝ジャーナル(感謝したことを3つ書く)を毎日続けると、「小さな幸せを見つける力」が育まれ、自然と前向きな思考が身についてきます。
問題解決力が高まる
思考を紙に書き出すことで、複雑に絡んでいた悩みや不安が解きほぐされ、「自分が何に悩んでいたのか」が明確になります。結果的に、次にどう動くかが見えやすくなります。
夢や目標が行動につながる
「こんな暮らしがしたい」「こんな人になりたい」――そんな夢や理想を、言葉にして書いておくことで、自分の未来に意識的になり、行動のモチベーションにもなります。
ジャーナリングは「自分をやさしく見守る時間」
忙しい日々のなかで、つい自分の気持ちを置き去りにしてしまうことがあります。
そんなとき、ノートとペンを手に取るだけで、「いま、わたしはどう感じている?」と問いかける時間が生まれます。
たった1行でもいい。うまく言葉にならなくても、感情のカケラを書き留めるだけで、その日が少しやさしくなることもあります。
「今日はやる気が出なかった」
「ひさしぶりに空がきれいだと思った」
「人と話すのがしんどかったけど、がんばった」
そんな他愛のないひとことも、自分だけの心の記録。
誰にも見せない、自分とだけの静かな対話です。
書きたいときに、書きたい分だけ。書けない日があってもOK。ジャーナリングは「続けること」よりも、「自分とやさしく向き合うこと」がいちばんの目的です。
はじめての一歩を、今日このあとに
用意するのは、好きなノートとペン1本だけ。
あるいは、スマホのメモアプリでも構いません。
「今、どんな気分?」
「今日、ちょっと嬉しかったことは?」
「最近、気になっていることはある?」
こんな質問に答えるだけでも、立派なジャーナリングです。
書くことで、気づけることがある。
書くことで、手放せる気持ちがある。
そんな習慣が、いつしか自分の心を守ってくれる存在になるかもしれません。
ぜひ、今日の夜からでも。ページをひらいて、今のあなたにそっと声をかけてみてください。
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